【伝統と新しい仏教のかたち】
今、お寺さんやお坊さんとの付き合い方が変わりつつあります。
かつてはどのお家も、何代も前から特定のお寺と檀家さんとしてお付き合いして来たのですが、
そのようにしたくない、出来ないという方が増えているようです。
または、地方から都会に出てきて、ご先祖の供養はしたいが地元のお寺を呼ぶのは難しい、という方もおられます。
そもそも地元のお寺自体が廃寺になり無くなってしまい、頼みたくても頼めない場合もあります。
このように、お葬式やご法要など、ご先祖のご供養はしたいけれども、両親や祖父母の
お世話になったお寺以外にご供養を希望される方がおられます。 そして信仰の形態も家から個人に移り、家でご両親が信仰していたお寺や宗派ではなく、ご自分で
信じるお寺や宗派でのご供養をご希望される方、そもそも宗派にこだわらない方も出て来ています。
ご両親はキリスト教だが、ご自身は仏教を信じる方、その反対の方。
さらにあるお家では、結婚して一旦は家から出て行かれた方が、配偶者との死別後ご実家のお墓に
埋葬されることを希望したり、同じお墓に違う宗派のご家族・親族が一緒に埋葬される事もあります。
地方にあった一族の複数のお墓を、親族一同で都心近郊にある霊園一か所に移された家もあります。
いずれにしても、憲法で守られる「信仰の自由」もあり、過去の檀家制度には縛られない形態での
お寺・お坊さんとのお付き合いがはじまっています。
ここ慈照院では、「檀家としてのお付き合いを必ずしも求めない方のご要望にも応える」という
意味では、伝統に縛られない新しい仏教のかたちを模索しつつ実践しております。
しかし、お葬式やご法要などの作法などに関しては、基本的に従来の伝統的な方法を守って行きたい
と考えております。
まだまだ未熟者ではございますが、この現代において伝統を守りつつ、一方で時代に適応する仏教を
実践して行く所存でおります。
合 掌
真言宗 単立非法人寺院
慈照院 住職 木暮 全照